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「ゼブラーマン−ゼブラシティの逆襲−」


「ゼブラーマン2」
 六年振りの縞馬男、ゼブラーマン復活。冴えない小学校教員(哀川翔)が突如目覚め、正義の味方ゼブラーマンに変身し、悪をバッタバッタとなぎ倒す勧善懲悪劇は、今回も健在だ。

 オファーされた仕事は全部受ける三池崇史監督は、どんなジャンルも自家薬籠中のものとし、その徹底した娯楽性が見る者をしびれさす。三池ワールドの基調はナンセンスとヴァイオレンスの強烈なハジケ方にあり、今作もそのツボは外さない。チャンバラ時代劇以来の活動写真の原点の踏襲は、大御所マキノ雅弘監督を彷彿させる。

 物語の設定は、前作の十五年後のゼブラシティと名を変えた東京。現代風にSFの味付けが施されている。独裁者が君臨し、一日五分だけの警察による撃ち殺しタイムが認められるという、トンデモ設定なのだ。しかし、物語はここで終らない。肝心のゼブラーマンは、撃ち殺しタイムの犠牲で入院中、おまけに記憶喪失中だ。その彼がどのように立ち上がるかが宮藤脚本の知恵の絞りどころ。敵は独裁者の娘の黒ゼブラーマン(仲里依紗)、「時をかける少女」とは全く違う超過激なタイツ姿で妖艶に歌い踊る、当世風のミュージカル仕立てだ。この悪と対峙するのが病院から出てきた我らがヒーロー、白ゼブラーマン。

 そして、極めの台詞は「白黒をつけようぜ!」「俺の背中に立つんじゃねえ!」と劇画的カマセが心地良い。絵に画いたような善玉、悪玉の対決、それをロックに乗せ、白黒と色分けをする分りやすさ、その馬鹿らしさが作品の売りだ。電脳紙芝居と呼ぶにふさわしい快作。

1時間46分。


 

中川洋吉・映画評論家