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「インセプション」
知的興奮 秀逸のシナリオ

知的な興奮に溢れるアクション。

「インセプション」
(c)_2010_WARNER_BROS.ENTERTAINMENT_INC.
 人間の夢の中に別の人間が入り込んで、貴重なアイデアを盗んでしまうという設定にうならされる。シナリオの発想が秀逸だ。
監督・脚本のクリストファー・ノーランの才気と、渋い俳優陣の演技が混ざり合い、単なるアクションものとは異なる味わいを見せている。
産業スパイとして活躍し、敵に追われるコブ(レオナルド・ディカプリオ)は、他人の夢の中に入り込んで、価値ある情報を盗むという特殊技能を持っている。事情があって家族のもとに帰れない。ある日、大企業トップの斎藤(渡辺謙)から不可能と思われる仕事を頼まれる。成功すれば、家族との再会がかなう特別な仕事だった。
それは「インセプション」と呼ばれ、夢の中に侵入し、情報を盗むのではなく、逆に植え付けることだった。
具体的には、斎藤のライバル社をつぶすためのアイデアを、その企業のトップの息子の夢に入り込み、植え付けるというものだ。
コブを中心にスペシャリストによるチームが編成され、活動が始まる。ここからすさまじいアクションが展開する。夢の中の出来事なので、街の転地が逆転したり、無重力状態の中で、体が浮き上がったまま大乱闘になったりする。
コブたちが乗るクルマが、橋から墜落するシーンは見事だ。夢の中では時差が発生して、クルマはなかなか川へ落ちない。スローモーションを見ているようになる。知的な部分とアクションが巧みに組み合わされた作品だ。
2時間28分





東京新聞2010年7月23日号(夕刊)掲載

中川洋吉・映画評論家